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PRAISE - CINEMA - ようやく元町映画館へ + スラヴォイ・ジジェク

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開館から2ヶ月、遅ればせながら、ようやく元町映画館 (神戸市中央区元町商店街四丁目) デビューを果たしました!お目当ての映画は『スラヴォイ・ジジェクの倒錯的映画ガイド』。劇場も映画も堪能し、久しぶりに楽しい夜を過ごさせていただきました!
元町映画館の上映フロア (写真) はひっそりとしていて、写真でおわかりのように
BW2cut320-224.jpg天井なんかはややはげた(?)部分もあるのですが、こういうディテールが逆にこれから始まる映画への期待と不安をかきたてるので私は好きです。スクリーン・座席ともにちょうど良いサイズ。スクリーンに関してはやや小さいという意見も聞こえてきそうですが、あまりに大きいものは座るポジションを一歩間違えると全体を見渡せなくて、
目があっちへこっちへキョロキョロで疲労困憊してしまうこともありますので... 椅子の座りごこちも (最近の映画館の椅子は本当によくできていますねえ)快適だし、何より列ごとに "段" がついているのが小柄な私には嬉しいかぎり!映画館によっては前に平均身長以上の男性などが座ってしまうともう悲劇ですので... (写真:まだお客さんが入る前の元町映画館上映フロアの様子。もしかしたらちょっとアングラな古めかしい感じに写ってしまったかもしれませんが、それは私のアングルのせいです... 本当は、椅子も新しいし、とても清潔で綺麗ですので。赤くて可愛い椅子には飲み物置きもちゃんとついています。後から思ったのですが、ここで写真を撮っても良かったのかなあ... 決して邪まな目的ではないんだけど... 紛らわしいので皆さん、上映が始まったらやはり必ずカメラはしまいましょうね)

ロビーは白を基調としていてとても清潔で開放的!気持ちがよいです。一点だけ惜しいのが、ドアがガラスであること。私は個人的な好みとして、外と切り離された映画館独特の雰囲気が好きなので、ちょっと "開放的" すぎるかな。何十年も見慣れた元町商店街が見えてしまうからそう感じたのかなあ... でも確かに、中がよく見えるということは入りやすいということで、それも重要かもしれないしなあ。例えば、若い高校生の女の子などが一人でも入りやすい (最近はそういう子はあんまりいないかな?) ような雰囲気も大切かもしれないし。スペースも限られているから、"こもった" 感じにしてしまうと、一日そこで働いていらっしゃる方の精神衛生も心配だしなあ... 難しいなあ。motoeiさん、次回、老朽化で改装なさるときには、「明るい開放感を保ちつつ、いったん中に入ったら外界と遮断されるようなロビーが欲しい!」という半ば無茶なわがまま意見をちらっと思い出してくれれば幸いです...
(注:元町映画館とは今年8月、神戸は元町にオープンした単館系映画館です。詳しくはこちらの元町映画館HPを)


"THE PERVERT'S GUIDE TO CINEMA"
で、ここからはこの日鑑賞した作品についてです。どういう映画かと言いますと、「独創的な思想家であり現代随一のラカン派精神分析家であるスラヴォイ・ジジェクが、アルフレッド・ヒッチコックの『めまい』、デイヴィッド・リンチの『ブルー・ベルベット』、ジョージ・ルーカスの『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』など、40本以上の歴史的名作の映像を引用して、映画の全く新しい見方を提示する」(『"スラヴォイ・ジジェクによる倒錯的映画ガイド"オフィシャルHP 解説』より) というドキュメンタリー作品 (いやジジェク氏の講義?) です。ジジェク超初心者である私にとって、精神分析家・哲学家による2時間半にも及ぶ映画の分析は理解できるのだろうか?それより何より、2時間半もつだろうか?途中で降参ということにならないだろうか?という若干の不安がありました。が、それも上映開始前まで。2時間半はあっという間に過ぎ去り、終わった後は、もっと彼なりの分析を聞いてみたーいと思うくらいでした。

ジジェク氏はおなじみの映画シーンを精神分析論にあてはめ、映画が我々に与える欲望の表現方法、セックスへのファンタジーの介在、父親象とその破壊の必要性 etc. を延々と説いてくれます。『エクソシスト』(ウィリアム・フリードキン, 1973) における "声" の重要性など、「なーるほど」と思わせる面があるかと思いきや、『ワイルド・アット・ハート』(デヴィッド・リンチ, 1990) におけるボビー・ペルーの解釈など「ん?それはどうでしょう...」と (個人的には) 首をひねるような説などもあり、まあ、賛否両論ありましょうが、とにかく彼の語りは明快でわかりやすく、かなり楽しめました。ただし、ディテールにこだわり過ぎている点や精神分析論独特の解釈では...と思わせる面もありますので、リンチやタルコフスキーをこれから見ようとする人はこの映画を先に見ないほうがよいのではないでしょうか... これらの作品を見た後で本作品を見ることをお勧めします。

本作品の "中身" について、つまり中身とは彼の映画分析になってしまうので、私がここでそれをあれこれ語ったり分析したりしたところで意味がないように思いますし、これから見られる方にとっては邪魔になるかと思いますので、ここではこの作品の非常に "表層的" な部分について気になった点をあげてみます (こういう点についてふれている点は作品の性質上、少ないのではないかと思いますので...)。

まずはジジェク氏の話し方。スロベニア出身ということでアクセントが非常に強い、さらには、途中で的確な言葉をさがして言葉につまることも度々。で、その姿にこちらも思わず「な、何を言いたいのだ!早く、早く言わんかい!うううっ!」と身を乗り出しそうになります。この独特の喋り方がひっかかってひっかかって... でも、それが逆に彼の話しにこちらを引き付ける要因の一つになっているのでは。これがもし美しい英語でスーラスラと話されていたら、情報量の多さもあることから、心地よい子守歌のようになってしまって眠ってしまう人もいたのではないでしょうか?

次いでは引用シーンの素晴らしさ!マトリックス、スターウォーズ、リンチ作品、キューブリック作品などといったところはそうでもないでしょうが、ヒッチコック、タルコフスキー、ベルイマン、チャップリン、マルクス兄弟などなど、 (非常に限定されたシーンとはいえ) ミニシアターが激減した昨今、そうそう大画面で見るチャンスはないのでは?(私自身、大好きな『惑星ソラリス』(アンドレイ・タルコフスキー, 1972)を大画面で見たのは初めてでした) 特に家庭用ビデオが普及した後から映画を見始めた若い人々は、これらの古い作品を映画館の大きなスクリーンで見たことがないという人も多いでしょうし、今後もそのチャンスはそうそうないだろうと思います。特にラストのチャップリンの『街の灯』(1931)。無声映画ですので、当然台詞が字幕で画面に映し出されるという形で挿入されるのですが、スクリーンいっぱいに映し出される "You?""Yes, I can see now" の大きな文字は、単なる文字なのに、テレビの小さい画面からは得られない何とも言えない感動を与えてくれます。なので、哲学者が映画を語る、それも結構わかりにくそうな映画を...ちょっとこれはどうでしょう...と敬遠されている方でこれらの作品を映画館で見たことがない方は、この点を観にいくだけでも値打ちはあるかと思います。

しかしこのラスト、映画の最初のほうでエクソシスト等を引き合いに出し、さんざん "声"や
"音"のパワーを説いておきながら、最後の最後に無声映画かよー!というあたり、ジジェク氏本人の狙いでしょうか?それとも監督のソフィー・ファインズさんの演出でしょうか...?

最後に一点、個人的に大きな大きな収穫を。最初にふれた『ワイルド・アット・ハート』 におけるボビー・ペルーの解釈なんですが、私はジジェク氏の解釈には完全に同意しかねるものの、彼の述べていることがヒントになり、今まで考えていなかったボビー・ペルーの役割、そして彼は結局「何」であるのか、という点が、映画館の中で突然、私の中でクリアになり、もう「ジジェクさん、ありがとー!」と思わず心の中で叫びたくなりました!



「スラヴォイ・ジジェクによる倒錯的映画ガイド」
(原題 "The Pervert's Guide to Cinema")
製作:2006年 イギリス オーストリア オランダ
監督:ソフィー・ファインズ
脚本:スラヴォイ・ジジェク
出演:スラヴォイ・ジジェク
"スラヴォイ・ジジェクによる倒錯的映画ガイド"オフィシャルHP: http://www.imageforum.co.jp/zizek/

私的評価:★★★★☆ 75点


元町映画館 神戸市中央区元町通4丁目1-12 (大丸と神戸駅のちょうど中間辺り)
公式ウェブサイト:http://www.motoei.com

その他の元町映画館関連記事:
2010/8/13 "元町映画館~元町商店街にミニシアターOPEN"
2010/8/23 "祝! 元町映画館がOPENしました"
2010/11/3 "IKEAのKitchen Plannerで"元映"CAFEを描いてみたら・・・"

掲載作品の一覧 / List of Other Praised Works



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Comments - コメント一覧

From : CapeDaisee : おもしろさまへ!

おもしろ様
> 元町映画館支配人 おもしろ と申します。....

わっ!"おもしろ"さんご本人からのコメント!感激!
ありがとうございます!!!
うちのブログはジャム作りと神戸の写真ということで始めたのですが、
やはり『好きなこと』についてたまに語りたいなーということで
数は少ないのですが主に映画中心に「好き、好き」とほざいております。
元町映画館さんは本当に期待しています!元町の星です!
『エル・トポ』、見たいですねえ(まだ見たことがありません)。
でも、"グロ"っぷりがやや心配でもあるところなのですが...
『クロッシング』も見たいなあと思っているのですが、最近精神的にまいって
まして、この手の刺激を受けるとちょっと涙が止まらなくなるんじゃあ
ないかと、やや躊躇しております...

おもしろさんのブログ、もちろん、ちょいちょい拝見しておりますよ!
では、お体をお大事に(あっ、お医者さまでしたっ???)。

From : おもしろ :

元町映画館支配人 おもしろ と申します。
ツイッターならびにブログにまで書いていただきありがとうございます。
ジジェク楽しんで頂けたようで、よかったです。
また、来て下さいね。来年1月には『エル・トポ』しますんで、よろしくお願いします。
あ、最後に私のブログも覗いて下さいね。簡単なブログですが。。。
http://omo463.blog91.fc2.com/
よろしくどーぞ。

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AUTHOR : CapeDaisee

Born and live in KOBE, JAPAN.
Love Hanshin Tigers, beer and cute tiny things.

神戸市出身・在住 女性
御多分にもれずタイガースファン。
何かを作るのが好きなので そして仕事と家事に忙殺されぬよう ジャムを煮たり写真をとったりしています。おうちで作るジャムのおいしさと神戸のいいところを伝えられれば幸いです。
好きな映画や本や音楽やモノやコトについても時々書いています。
でも最近は写真ばっかりだな...

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